私と森崎さんの出会いは森崎東・松竹第1回監督作品『女は度胸』。私にとってその作品は松竹入社第1作でした。デビューが一緒なんです。だからつきあいは長いですよ。
 この作品を撮っていたのは恋愛中で、ちょうど結婚しようかと思っているときでした。現場にいても早く帰りたくてしょうがないんです(笑)。でも監督は、何かあるとセットの外に出てひげをジョリジョリ始める。そうすると、すべてが止まっちゃうんです。そうなると「私、なんでこんなことやっているんだろう!?」なんて考えちゃうわけですよ。第1作で、何がいちばん印象に残ったかといえば監督のその“粘り”でしたね。

 たしか川崎ロケでした。森崎さんの映画って、当時から“ヘン”でしたよ(笑)。家の中にダンプカーがつっこんじゃったりね。私は少年院出の不良少女の役。自転車に乗ってやってきて、剣玉やったりするの。なんだか人間関係がぐちゃぐちゃしていて、人間の穴みたいなものを描いているんですけど。
 でも監督やスタッフ、共演者の皆さんとの“出会い”がいちばん面白かったなあ。

 森崎さんって“しつこい”んです。この人はなんでこんなにしつこいんだろう、このしつこさはどこから来ているんだろうってときどき考えます。
 なにより森崎さんとは、すごくあう、という感じ。これまでいろいろなところを歩いてきましたが、私の人生の節目節目でご一緒してますし。最初の映画の時なんて、彼がでっかい車で迎えに来たりしたからよく冷やかされましたしよ(笑)。あの作品の少し後に結婚しました。『黒木太郎の愛と冒険』は結婚して子供が産まれたときでした。森崎作品は私のなかでどれも特別な存在です。ただ、第一作は思い入れが全然違うような気がします。 

 ところで、撮影中の森崎さんっていつも手を握っているでしょ。いつも握り拳になっているの。だから手の甲だけすごく日に焼けてるんですよ。あの手、すごくチャーミングなのよ。“森崎組”、“森崎東”の手。あの握り拳は森崎東、森崎組そのもの! 絶対いいと思う、あの手。森崎東しかやらないですもの。でもね、拳っていっても猫の手みたいにかわいいんですよ。

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