映画祭紀行 その7 「拠(よりどころ)」

2月11日 (後)1105

最後のQ&Aの後、和食レストランに移動して近藤夫人の誕生日を皆で祝う。
あまりよろしくない味のしゃぶしゃぶだったのだが、愉しき宴となった。
さらにその後、大使館からユニ・ジャパンのパーティに招待される。キム・ギドク監督も出席するらしい。彼にだけは会っておきたい思いもあったが、もはや疲れていたため断ろうとした。が、皆が不機嫌になって仕方ないので喜んで出席した。
人込みを覚悟していたが、まさかこれほどまでのゴチャゴチャのグチャグチャだとは。あまりの混雑で立ったまま動けない。ひとたびその群れに混じってしまうと、人の流れに押され押されて、どこへ追いやられるか判ったもんじゃない状態112だ。だいたい他人の胸元や首元ばっかりで顔が全然見えないじゃないか。朝の山手線に乗っているようなもんだ。
昔、森繁久彌さんにも倍賞さんにも痴漢だのスリだのと満員電車に押し込んで撮影したじゃないかと言われれば、ボンの窪でも掻いて「いやぁ」と誤魔化すしかないが、やっぱり自分が押し込められるのは御免蒙りたい。映画監督というものは、人にやってもらう職業なんだから仕方がないのだ。ところで、みんな飲み物を手にしているが、どうやって手に入れたのだろう。どうやら配っているらしい。私だって喉が渇くのだから飲み物くらいは欲しいのだが、給仕の人とは一向に出会えないのだ。とにかくキム・ギドク監督と会いたい。会って一刻も早く帰りたい、その思いだけだった。そうこうしている内に、大使館の方々が代わる代わる祝辞と、この状況への詫びを言ってくれた。とりあえず笑顔でへぇへぇと返事をしたが、実のところあまりの喧騒に何を言ってるのかサッパリ判らなかった。
やっとスタッフがキムさんを連れてきてくれたので、固い握手だけ交わして即座にその場を辞す。結局、給仕の方には最後まで出会えなかった。
23時ホテル着。長い1日だった。

 

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