「第3回上映後Q&A」

独語字幕版・満席 
(通訳) 梶村 昌世


(出演) 森﨑   東【監督】

     倍賞美津子【女優】

     近藤 昭二【脚本家】

     志摩 敏樹【プロデューサー】
 ceater雪の降りしきる夜。まさにヨーロッパの街並みに街灯の明かりが滲む。
 本日の会場は、赤茶色のチョコレートケーキのような外観。子供部屋のような黄色い壁に赤褐色の扉。ホール内は暖色の落ち着いた内装。庶民的というか家庭的な温かさをもった劇場である。
 今回のQ&Aから、脚本の近藤昭二氏も参加。3回目にして、これまでで最高の盛り上がりの場内。観客は熱狂的な歓声で、壇上に上がる4人を迎えた。まさに熱狂的に!
※(以前に触れた同じ内容の質問、回答は出来る限り割愛)
●女性司会者「これは、あらゆる要素が盛り込まれた映画ですね。ユーモアあるコメディタッチな面もあり、シリアスな社会派な面もあり、暴力的な面や詩的面、非常にテンションの高い映画だと思います。いったいどのようなことからこのように複雑な物語を作られるのですか」
●森﨑「私の作品に対する批評で、一番多いのがその点です。詰め込みすぎであると。1升瓶の中に2升入れると表現されたことがあります。なぜそうなるかと言いますと、私は作品が少ないからです。たまにしか作れないので、その中に少しでも入れたいと一生懸命なんですね。

     ◆ウケる観客。1升瓶のタトエを聞いた女性司会者のコメントに、更なる笑い。《いやにウケてるな》といった表情の監督。

●女性司会者「

     ◆ドッと笑いに包まれる客席、拍手まで沸き起こる。

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●女性司会者「この映画の発想についてですが、監督の中で最初にあったのは知的障害の少年の運命ですか、盗まれたベンツのことですか」
●森  﨑「非常に難しいですね…脚本家がお答えします(と、いきなり近藤さんにマイクをふる)」
●近藤「(慌てて拒否して)質問がよく解らなかったから」
●森﨑「ベンツか子供か、どっちが主なのか(と、更にマイクを押し付ける)」
●近藤「(受け取らず)いやいや、監督が答えてください(と、居直る)」
●倍賞「(間に挟まれて頭を抱える)」
    ◆その押し問答に会場も沸く。
●森﨑「じゃぁついでですから答える前に、余計な事を言わせて頂きます。ベルリンに来て3つくらい、衝撃的な体験をしました。ひとつは、日本映画を観るために、映画館にこれだけ沢山の人が来ているということ。子供の頃は日本でもこんな状況でしたが今や伝説と化していますので、私たちには奇跡に近い光景であります。2つ目は上映後の拍手です。私も子供の頃は手を叩いたものですが、この温かさが衝撃的でさえありました。3つ目は…衝撃的過ぎて忘れました(と、マイクを志摩さんに)」
    ◆更なる笑いと拍手に沸く場内。
shima志摩「(マイクを渡され)…私が3つ目を継ぐのは僭越ではありますが。私が驚きましたのは、監督が表現されているユーモア、親子の愛情、社会に対する怒り、こういったものに対してとてもストレートに受け入れ、反応してくださっていると思いました。日本では監督の表現を常に難しく考える傾向があります。ベルリンの皆さんの実にストレートな観方に驚き、嬉しくなりました」

●女性司会者「先程の私の質問にも、お答え頂けますでしょうか…」
●森﨑「答えます! 非常に鋭いご質問です。当然子供が先であります。知的障害の子供のテーマが、私には非常に大きいモチーフでした。きっかけは知的障害をもった人が一定の割合で生まれてくることに、この時代にしていまだ答えを持たないということ。そして、もうひとつは、ある知的障害を持ったお子さんを持つ母親が、『私はこの子を人の目に触れる事を避けようとは思いません。隠したいと思わない。むしろこの子の面白さを知ってもらいたい。見せて歩きたいぐらいだ』と、そう言ったんですね。私は非常に意外に思いましたが、とても感動しました。その感動が、最終的にこの映画を撮ろうと決意した理由であります」
     ◆拍手に沸く場内。
●中年の女性客「この映画は、純粋さというものがとても印象的に感じられたのですが、純粋さというものは、映画の表現では、知的障害の子供たちや自然の中にしか作れないものなのでしょうか。また、題名の意味を教えてください」
●森﨑「日本を出る前、ベルリンの観客は非常に鋭い質問をするので気をつけろと忠告されてきました(と、マイクを近藤さんにふる)」
     ◆ドッと笑う観客。

 

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